吹き抜けのあるリビングにおすすめのエアコン設置位置とは?失敗例も詳しくご紹介します!
吹き抜けのあるリビングは、自然光を取り入れやすく、風通しがよくて開放感があります。しかし、冷暖房効率が下がる可能性があり、快適な室内環境を維持するためには空調設備の工夫が欠かせません。
本記事では、吹き抜けのあるリビングにおすすめのエアコン設置位置や失敗例をご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
吹き抜けとは?
吹き抜けとは、建物の1階から複数階の空間が連続している構造です。マンションのエントランスホールや戸建て住宅の玄関、リビングの上部に設けられる場合が多いです。
空間の広がりを実現して、自然光を取り入れやすく、風通しもよくなるメリットがあります。しかし、冷暖房効率が下がる可能性があり、快適な室内環境を維持するためには空調設備の工夫が必要です。
吹き抜けのメリット・デメリット
次は、吹き抜けのメリット・デメリットについて解説します。
・メリット
・デメリット
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
メリット
吹き抜けのメリットは、以下のとおりです。
・開放感がある
吹き抜けは1階と2階以上の空間が連続するため、天井が高く広々とした開放感がある。さらに、視覚的な広さも感じやすく、都心部などの敷地が限られた場所での建築にも適している
・自然光を取り入れやすい
2階に設けた遮光窓からの光が1階まで届き、部屋全体を明るくするため、周囲に建物が密集している場合でも光を取り入れやすい。さらに、照明の使用頻度が減り、電気代の節約にもつながる
・風通しをよくする
窓を開けた際に上下の空気の通り道が生まれるため、自然換気が促進される。さらに、シーリングファンを設置すれば、空気の循環がよくなり、快適な室内環境を実現できる
なお、シーリングファンの正しい回転方向については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:シーリングファンを夏や冬に利用する際の正しい回転方向とは?回転方向の変え方もご紹介!
デメリット
吹き抜けのデメリットは、以下のとおりです。
・2階のスペースが減少する
吹き抜けを設置すると、2階の床面積が減少するため、部屋数や収納スペースが制限される場合がある
・掃除が難しい
高い位置にある窓は掃除が難しく、高い所用の道具や足場が必要。専門業者に依頼しなければならない場合もあるため、ランニングコストの計算を事前にしておく必要がある
・音やにおいが広がりやすい
家族の声や料理のにおいが筒抜けになりやすい。生活リズムが異なる場合は、防音対策の検討が必要になる
・カビが発生しやすい
北側に吹き抜けを設置すると、日当たりが悪く結露がたまりやすくなるため、湿気がこもり、カビが発生しやすい
・光熱費が高くなる
吹き抜けは空間が広いため冷暖房効率が低下する場合がある。冬は暖かい空気が上に逃げ、夏は2階に熱がこもりやすいため、全館空調や床下エアコンなどの設備導入がおすすめ
吹き抜けのあるリビングにおすすめのエアコン設置位置
次は、吹き抜けのあるリビングにおすすめのエアコン設置位置について解説します。
・高さ
・吹き抜けの中間層
・左右
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
高さ
吹き抜けのある住宅では、エアコンの設置位置が冷暖房効率に大きな影響を与えます。エアコンの設置位置は1.8m〜2.4mの高さに設置するのが一般的ですが、吹き抜けの空間では少し高めの2.5m程度がおすすめです。
この設置位置は、冷暖房の効率を高め、空気の循環を促進させ、部屋全体の温度ムラを軽減します。さらに、視覚的にもエアコンが目に入りにくいため、開放的な雰囲気を保てます。しかし、高すぎると掃除や修理がしにくいリスクがあるため、適切なバランスを考慮しましょう。
吹き抜けの中間層
エアコンを中間層に設置すると、冷暖房の効率を高め、空間全体に快適な温度が届きやすくなります。しかし、一般的な設置場所よりも高いため、冷暖房効率が低下してしまいます。
このため、よりパワーのあるエアコンや風量設定で強風に設定しなければなりません。また、高所メンテナンスや清掃は、専門業者に依頼するケースが増える可能性があります。このように、電気代や業者代といったランニングコストも考慮しなければなりません。
左右
エアコンの設置場所としては、四隅に設置する場合が多いですが、部屋のレイアウトや家具の配置を考慮しなければなりません。部屋の中央に設置すると目立ちすぎるため、視覚的な美しさを守るために壁の端に取り付ける場合が多いです。
また、大型家具が風を遮らないように配置する必要があります。リビングの中央にテレビがある場合は、エアコンを左右の壁面に寄せると空調効率がよく、視覚的にも美しい空間が作りやすくなります。
吹き抜けのあるリビングでありがちなエアコン設置位置の失敗例
次は、吹き抜けのあるリビングでありがちなエアコン設置位置の失敗例について紹介します。
・ソファーの正面
・壁までの距離が近い位置
・手が届かない位置
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
ソファーの正面
エアコンの風がソファーに当たると、長時間座っているときに不快さを感じやすくなります。冷房時は強い風が当たると寒く感じたり、暖房時には乾燥で肌や喉に影響が出たりします。
さらに、風が直接当たると、肩こりや疲労感といった健康への影響も少なくありません。このため、ソファーの上や後ろにエアコンを設置するのは避け、風がソファーに直撃しない位置にすると室内全体に均一に風が行き渡ります。
また、キッチン近くにエアコンを設置する場合は、調理の熱がエアコンの誤作動を招かないよう、少し距離を考慮した工夫も必要です。
壁までの距離が近い位置
壁際にエアコンを設置すると、冷暖房の風が部屋全体に行き渡らず、広い空間では温度ムラが生じてしまいます。吹き抜け空間では、効率よく空気を循環させるために、風がリビング全体に広がる位置が理想です。
さらに、壁に近いとクロスがエアコンの風や湿気の影響を受けやすくなるため、よごれや傷みが進み、張り替えの頻度が増える場合があります。設置の際には、壁からの適切な距離を確保して、空調が効率よく到達する配置を考慮しなければなりません。
手が届かない位置
中間層など高い場所にエアコンを設置すると、掃除やメンテナンスの際に大きな問題が生じます。通常の高さであれば日常的な清掃は簡単ですが、手が届かない場所では脚立や特別な道具を使う必要があり、危険なため、日常の掃除が疎かになりがちです。
また、専門業者に依頼する方法もありますが、費用がかかるため、依頼する人は少ないのが現状です。設置場所を選ぶ際には、清掃のしやすさやメンテナンスの手軽さを十分に考慮しましょう。
吹き抜けのあるリビングの間取りと冷暖房におけるポイントは3つ
次は、吹き抜けのあるリビングの間取りと冷暖房におけるポイントについて解説します。
・配置する家電のレイアウトを考慮する
・ランニングコストを考慮する
・畳数が少し上のエアコンを選択する
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
配置する家電のレイアウトを考慮する
エアコンの設置場所は、風が直接家具に当たらないように注意が必要です。ソファーやベッドに風が直接当たるという問題が生じるため、家具の配置を先に決めましょう。
さらに、家具の大きさや種類も影響するため、生活動線を考慮しながらレイアウトの設計が求められます。このため、家の間取りを決める段階で希望の家具サイズを伝えて、風向きや動線のバランスも含めた設計を依頼するのがおすすめです。
ランニングコストを考慮する
吹き抜けの場合、照明や窓を高い位置に設置しなければなりません。このような場合、自分たちで電球の交換や清掃するには危険なため、専門業者への依頼がおすすめです。
業者によって価格が異なりますが、電球交換は数千円、窓清掃は数万円が一般的な相場となります。このようなランニングコストを事前に把握し、後から後悔することのないように注意してください。
畳数が少し上のエアコンを選択する
一般的なエアコンの畳数は、標準的な天井の高さが基準となっています。しかし、広い空間を持つ吹き抜けでは冷暖房が効きにくいため、2〜3ほど畳数を上げて選ぶのがおすすめです。
たとえば、8畳の部屋なら10畳用、14畳なら16畳用など、少し上の畳数に対応するエアコンを選びましょう。また、冷暖房の効率を高めるため、天井ファンを併用して空気を循環させる方法も効果的です。
吹き抜けエアコンでよくある3つの質問
最後に、吹き抜けエアコンでよくある質問について紹介します。
・質問1.吹き抜けの空調効率をよくする方法は?
・質問2.吹き抜けのある家を計画する際の注意点は?
・質問3.吹き抜けは冷暖房効率が下がる?
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1.吹き抜けの空調効率をよくする方法は?
吹き抜けの空調効率をよくする方法は、以下のとおりです。
・エアコンと床暖房を組み合わせる
床暖房で足元を暖め、エアコンで空間全体を温めると、温度ムラが軽減できる。床暖房とエアコンを使い分ければ、エネルギー消費の抑制も期待できる
・シーリングファンを活用する
夏は冷気を均等に行き渡らせて、冬は暖かい空気を下に送り込めば、冷暖房効率が向上するため、電気代を抑えられる。さらに、デザイン性もあり、インテリアとしても楽しめる
・高気密高断熱住宅の仕様を取り入れる
断熱材の強化や断熱窓の導入、気密シートの使用、ヒートブリッジ対策などにより、冷暖房の効果が持続する。さらに、空調効率が上昇して、光熱費の削減にもつながる
なお、高い断熱性と気密性を実現する外張り断熱工法については、こちらの記事で解説しています。
関連記事:外張り断熱工法とは?メリット・デメリットやよくある質問まで詳しくご紹介します!
質問2.吹き抜けのある家を計画する際の注意点は?
吹き抜けのある家を計画する際の注意点は、以下のとおりです。
・床面積とのバランス
吹き抜けを設置すると2階の床面積が減少するため、全体のバランスを考える必要がある。隣家との距離や通りの状況を確認して、居室の希望を踏まえて判断すると、家族全員が快適に過ごす空間設計を実現できる
・耐震性
吹き抜けにより柱が少なくなる場合、耐震性が低下するリスクがある。耐震等級3の設計が理想的であり、十分な耐震性能を確保するため、建築基準法にもとづいた設計が求められる
・冷暖房効率の向上
吹き抜けは開放感があるため、暖房効率が低下する場合が多い。このため、エアコンの選定や天井ファンの導入で空気循環を重視して、効率を高める工夫が必要になる
・メンテナンス性
吹き抜けの高い位置に設置された窓や照明は、清掃や交換が難しいため、メンテナンスの計画を立てる必要がある。専門業者の費用も考慮しなければならない
質問3.吹き抜けは冷暖房効率が下がる?
吹き抜けは1階と2階を仕切らずに開放感を生み出すため、冷暖房効率が低下しかねません。吹き抜けによって空間が縦に広がるため、エアコンの効果が分散されてしまいます。
床面積に合ったエアコン1台では、吹き抜けによって空間が広がるため、エアコンが性能以上に稼働して、効率が低下します。また、暖かい空気は自然に上昇するため、1階で暖房をつけても2階に空気が上がってしまい、暖房効果が維持されません。
まとめ
本記事では、吹き抜けのあるリビングにおすすめのエアコン設置位置や失敗例をご紹介しました。
吹き抜けのあるリビングは、開放感と見た目が魅力的ですが、2階のスペースが減少し、掃除が難しく、光熱費が高いなどのデメリットもあります。
また、吹き抜けを設ける場合、エアコンの位置は少し高めの2.5m程度がおすすめです。さらに、部屋のレイアウトや家具の配置を考慮した中間層に配置しましょう。
一方で、ソファーの正面や壁までの距離が近かったり、手が届かない位置にエアコンを設置したりすると、さまざまなリスクが発生しかねません。よって、家電のレイアウトやランニングコストも設計段階で考えておき、畳数が2〜3上のエアコンを選ぶようにしてください。
建築業者に相談しながら、快適で機能的な吹き抜けリビングを実現しましょう。
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